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JR東海は、2024年3月16日にダイヤ改正を実施した。
- [[2023年3月ダイヤ改正について(JR東海ニュースリリース)>>https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000043113.pdf]](PDF形式)

在来線関係を見ると、315系に統一された中央線名古屋口について、普通・快速の130km/h化、昼間時に区間快速の設定と運転本数減が挙げられる。また、飯田線豊橋口も昼間の運転本数減がなされ、身延線富士〜西富士宮で朝の増発・昼間の減便等の運転本数見直しがなされる。

一方、東海道線や関西線の記述は見られない。

以下、リリースの詳細を基本に、ダイヤ改正の概要について述べる。

* 中央線名古屋口
** 普通・快速の130km/h化
*** 110から一気に130に
普通・快速列車はすでに315系に統一がなされていることから、最高速度を現行の110km/hから130km/hに向上する。

改正前後における中央線名古屋〜中津川間の線区最高速度を比較すると下表のとおりである。
{|style="overflow: auto; text-align:center; "
|~列車種別|w(60px):従来|w(60px):改正時|備考|
|特急・ライナー|130|130|中津川以東は120|
|普通・快速電車|110|bgcolor(yellow):130|中津川以東は95|
|貨物列車|85|85||
|}
東海道線(豊橋〜米原)の120km/hを飛び越し一気に130km/hまで上げたのは、すでに特急が130km/hの運転であり、ATS-PT等の保安設備の変更が最小限で済んだことも背景にあるようだ。

*** 所要時間短縮効果は限定的
一方で、所要時間の短縮は限定的であり、朝夕時間帯において、名古屋〜中津川間で平均3分、名古屋〜多治見間ではわずか平均1分と記されている。

中央線の駅間距離を下表に示すが、名古屋〜高蔵寺間の平均駅間距離は3kmにも満たず、快速も通過駅が少ない。駅間距離が長い区間でも比較的曲線制限が多く、130km/h運転が可能な区間はごく一部に限られると推定される。
{|style="overflow: auto; text-align:center; "
|~区間|平均駅間距離|
|名古屋〜高蔵寺|2.7km|
|高蔵寺〜多治見|4.1km|
|多治見〜中津川|6.2km|
|}
加えて、朝ラッシュ帯は、[[2022年3月改正]]時に8両化の代償として上り3本の増発を行っており、名古屋付近の過密ダイヤで高速運転は不可能な状況にある。

また、次項で示す区間快速の設定により、昼間時の短縮効果もないようだ。
*** 検証動画
以下は、鉄ちゃん太郎さんによる130km/h運転の様子を収めた動画。比較的駅間距離が長く速度制限の少ない春日井〜勝川間での撮影で、この区間では130km/h近い運転がなされているようだ。
&youtube(https://www.youtube.com/watch?v=iFdEImI8XDs)
** 昼間時の区間快速設定と運転本数減
*** 変更点
昼間時(10時台から15時台)の快速は新守山・神領にも停車し区間快速となる。11時台〜14時台の運転本数は快速3-普通5の毎時8本から、区間快速3-普通3の毎時6本に見直し。

名古屋〜高蔵寺間で毎時2本の減となるが、他方新たに区間快速の停車駅となる新守山・神領の両駅は毎時5本から毎時6本に乗車機会が増加する。
&ref(https://image01.seesaawiki.jp/y/o/yoke4000-memo/dFjXaiqKXa.png,480)

区間快速の所要時間を見ると、快速より停車駅が増加するものの、315系統一によるスピードアップもあり、トータルの所要時間は変わらない(名古屋〜瑞浪50分・名古屋〜中津川76/83分)。
*** 朝夕は変更なし
一方、中央線の朝夕は混雑が続いており、2022年度の混雑率はJR東海在来線中トップであった。このため、朝・夕〜夜時間帯に変更はなく、旧来の''快速も運転''される。速度向上による快速の所要時分短縮が見られるほか、朝ラッシュの上りも余裕時分を見直すなどして普通列車も含め軒並み2分程度の短縮が見られる。

ラッシュ時の境界となる10時台・15時台は、区間快速3本・普通4本の計7本の運転となり、おおむね10時半〜15時半ごろが10分間隔となる。

また、朝夕に変更がないことから、朝ラッシュで定まる運用本数22行路は変動がないものと見られる。
*** 背景
以下考察であるが、この背景には、
- &color(red){もともと中央線の昼間利用客はさほど多くなかったこと}
- &color(red){4〜6両だった昼間の運行も8両に統一したこと}
- &color(red){名古屋市営地下鉄が減便を進めており、多くの路線で昼間軒並み10分間隔に改めていること}
- &color(red){神領駅の利用者数の増加}
が挙げられる。

従前より中央線の昼間利用は4両程度で充足する列車も多く、しかも名古屋〜大曽根の地下鉄的な短距離利用の比率が多かった。一方で、地下鉄を運営する名古屋市交通局が減便ダイヤを進めており、多くの路線が昼間10分間隔となっている。これを横目に見つつ、中央線の8両化を機に本数減に踏み切ったとみられる。

また、快速通過駅である神領駅の利用客増は目覚ましいものがある。駅周辺の開発や、北口開設による春日井駅からの転移、庄内川を渡って名古屋市志段味地区からの利用客も増加するなど、ここ20年で利用者数は3倍の2万人超えとなり、多治見駅の利用者数を凌駕するに至っている。このため、神領駅の快速停車は時間の問題と見られていた。
* 飯田線・身延線の運転本数見直し
** 飯田線豊橋口の昼間減便
飯田線のうち豊橋〜豊川間は複線となっており、ローカル線ながら昼間でも毎時3〜4本の運行がなされていた。

しかし、今回の改正で昼間時に毎時1〜2本(12時前後の3時間帯)が減便され、毎時2本の時間帯も現れる。

これに伴い、一部の普通列車が通過していた下地・船町は、12時台〜14時台にすべての普通列車が停車するよう改められる。

** 身延線はラッシュ増便も昼減便
飯田線同様、身延線のうち富士〜西富士宮間は大半が複線で昼間時も比較的本数が多かったが、こちらも昼間に減便され9〜14時台は毎時2本の運転となる。

一方で、朝ラッシュに上り1本を増便する。

なお、公式リリースに発表はないが、身延線は2両編成の列車をすべてワンマン化する予定であることが、労組資料等で示されている。

** 本数の多いところから削っていく?
全国的に鉄道会社は減便ダイヤを進めている一方、これまでJR東海は減便をあまりしてこなかったが、今回の改正で減便がなされた。

昼減便のあった中央線・飯田線・身延線について見てみると、ある程度運転本数の多いところを削る一方で、本数の少ない末端区間には手を付けていない。

今後もこの傾向が続くとすれば、昼時間帯で本数がそれなりに多く、かつ乗車率の低い区間が減便の対象となることが考えられる。
* 東海道線・関西線
** ニュースリリースに記載なし
東海道線・関西線については、リリースにはとくに記載がない。以下、実際のダイヤ等について解説を加える。

** 関西線はほぼ変化なし
関西線のダイヤは大きな変更は見当たらず、運転本数の変更もない。[[315系C100編成]](4連)も改正前から運用されており、充当本数にも変化はない。

ただし、土休日の午前中において、名古屋〜四日市の3往復がワンマン運転(2両編成)から車掌乗務の4両編成に変更となっている。平日は変化がなく、目的については不明。

** 東海道線(名古屋地区)では減車が進む
ダイヤには大幅な変更がなかった東海道線(名古屋地区)であるが、一方で編成両数の減がなされている。

大垣区所属の313系300番台(Y30編成)が静岡へ転属にともない、8両編成の列車のうち約3分の1が6両へ減車されている。

また、車両運用では315系(4連)が名古屋〜武豊の区間快速を中心に運用を始めたほか、311系の運用が大幅に減っている。

詳細は[[各線の編成(2024.3)]]を参照。

** 東海道線(浜松〜豊橋)
浜松〜豊橋間の運転本数に変化はないが、静岡地区の東海道線は運転系統が見直され、熱海〜浜松間と興津〜島田間を交互に運転するダイヤとなっている。これにともない、浜松での系統分離がさらに進んでいる。

また、同区間は大垣区と静岡区の双方の車両が運転する区間であるが、大垣区所属車の運転が減り、静岡区所属車が増えている。こちらも詳細は[[各線の編成(2024.3)]]を参照されたい。
* ニュースリリースに見るその他の記述
** 北陸新幹線関連
北陸新幹線の金沢〜敦賀開業に伴い、特急しらさぎは敦賀〜米原・名古屋の運転に改められ、全席指定に変更となる。

しらさぎの両数はとくに示されていないが6両で変わらず、ホームライナー大垣も改正前と同じ編成両数が確保された。形式も681系と683系で変わらず。
しらさぎの両数はとくに示されていないが、[[JR西日本のプレスリリース(北陸エリア)>>https://www.westjr.co.jp/press/article/items/231215_00_press_daiyakaisei_hokuriku.pdf]]には、6両のイラストが描かれており、基本的に現行と変わらないものと見られる。

このため、ホームライナー大垣も改正前と同じ編成両数が確保されると見られる。形式は683系の導入が見込まれるが、681系も残る見込み。

** 西日本エリアで特急南紀がワンマン運転
HC85系に置き換えられた特急南紀だが、一部の列車についてJR西日本乗り入れ区間である新宮〜紀伊勝浦間でワンマンを運転を実施する。
HC85系に置き換えられた特急南紀だが、一部の列車についてJR西日本乗り入れ区間である新宮〜紀伊勝浦間でワンマンを運転を実施するとのこと。

- [[JR西日本のプレスリリース(京阪神・和歌山・南紀・北近畿エリア)>>https://www.westjr.co.jp/press/article/items/231215_00_press_daiyakaisei_kinto.pdf]]
&aname(315)
* 315系関連の新聞記事
** 中日新聞記事
1月1日に中日新聞が2024年の315系の投入について報じている([[1月3日の訂正記事>>https://twitter.com/kiha753307/status/1742329544311529637]]反映済み)。
- 3月から
-- 東海道線 大府〜大垣
-- 武豊線
- 6月から
-- 東海道線 熱海〜豊橋
- 11〜12月ごろから
-- 身延線 富士〜西富士宮
-- 御殿場線 沼津〜御殿場
** 3月改正時で東海道線・武豊線に
3月16日のダイヤ改正直前の3月15日に東海道線(大府〜大垣)・武豊線で[[315系C100編成]]が運用を開始した。あえて315の日を狙ったのかは定かではない。

関西線と共通運用で5行路が割り当てられている。名古屋〜武豊間の区間快速が中心で、名古屋〜大垣間は回送を兼ねた間合い運用に限定されている。

運用の詳細については、以下を参照。運用図も掲載。
- [[各線の編成(2024.3)]]
** いよいよ静岡にも315系・211系は2024年度中に全廃
6月という比較的早い段階で315系の投入が想定されていることから、年度当初より静岡区への315系投入が濃厚となってきた。

11〜12月には身延線・御殿場線の315系運用も始まることから、静岡区への集中投入も想定される。

また、交通新聞記事によれば、静岡の211系は2024年度中に315系に置き換えるとされている。
* 某労組情報
** 静岡支社の列車運転関係
公式情報ではないが、JR東海の某労組がネットで公開している情報によれば、今回の改正で静岡支社管内は、
- 列車キロ 60キロ減
- 列車本数 20本減
- 車両キロ 2390キロ増
とのことである。

列車キロの60キロ減は、身延線の増減分(11.9km×(1-5)=-59.5)と一致するため、身延線以外の列車運行に増減はない模様。一方で、列車本数が減っているのは、東海道線における途中駅での系統分離を減らし、直通運転を増やす意向であろうか。

また、名古屋地区と同様に途中駅での分割併合を減らすとしており、車両キロの増につながっている可能性がある。

** 静岡車両区の車両数
その他、静岡支社管内の車両数の変化にも触れており、前回改正時に一般車両が244両であったものが、今回改正時に257両になるとのこと。これは下記のポストを参照。すでに4編成が転属済みである神領区のB400(静岡L編成)について、残りすべて転属すればこの両数と合致する。

&twitter(1736271270873010421)

** 名古屋地区はリリース以外の情報はなし
労組情報では名古屋地区の情報もあるが、ニュースリリースを超える情報は現段階では見られない。

ただ、車両不足が噂される[[HC85系]]の増備に関して、適宜考えるとの会社回答がある。
* 関連ページ
- [[トップページ]]
- [[各線の編成(2024.3)]]
- [[2023年3月改正]]
- [[2022年3月改正]]
- [[315系C編成]]
- [[315系C100編成]]

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