注意 : この記事は神領車両区所属の315系のうち8両編成(0番台)についての記事です。同区所属の4両編成(3000番台)については、315系C100編成をご覧ください。


315系C編成は、JR東海の新型通勤電車315系の神領車両区所属の8両編成であり、中央線名古屋口(名古屋〜中津川間)で運用に就いている。2021年度より新製投入が開始され、2023年9月までに全23編成(184両)の新製配置が完了した。

315系の8両編成

全23編成が出揃う

2021年11月6日深夜に、315系の第1陣としてC1編成(8両編成)が日本車輛豊川製作所より出場。公式試運転を兼ねて、所属区所である神領車両区まで自走した。同区はJR東海の新形式が投入されることが多く、313系も初編成は神領車両区への投入であった。続いて同月18日C2編成が出場。以降、2022年2月24日までにC3〜C7編成が相次いで日本車輛を出場。2022年3月より運用が開始された。

2022年度分は11月から翌3月までにC8〜C13編成が投入、2022年度分からはスカートの形状等に変化が見られるほか、2021年度分は未搭載であった非常用走行装置も当初から搭載している。

2023年度分も4月から9月にかけて10編成が投入され、上半期で全23編成が出揃った。

C編成編成表


2021年度は7編成(56両)、2022年度は6編成(48両)が投入。そして2023年度分として10編成(80両)が投入。23編成184両の体制である。
号車12345678
編成名クハ
314
モハ
315
モハ
315
サハ
315
サハ
315
モハ
315
モハ
315
クハ
315
出場日
C1編成150225011501112021/11/6
C2編成250445022503322021/11/18
C3編成350665033505532021/12/2
C4編成450885044507742021/12/16
C5編成5510105055509952022/1/13
C6編成65121250665111162022/2/9
C7編成75141450775131372022/2/24
C8編成85161650885151582022/11/10
C9編成95181850995171792023/1/12
C10編成10520205101051919102023/1/26
C11編成11522225111152121112023/2/16
C12編成12524245121252323122023/2/27
C13編成13526265131352525132023/3/23
C14編成14528285141452727142023/4/6
C15編成15530305151552929152023/4/20
C16編成16532325161653131162023/5/18
C17編成17534345171753333172023/6/1
C18編成18536365181853535182023/6/15
C19編成19538385191953737192023/7/13
C20編成20540405202053939202023/8/3
C21編成21542425212154141212023/8/24
C22編成22544425222254343222023/9/7
C23編成23546445232354545232023/9/21
(※ スマホの方は横にスワイプでスクロールします)
青字は2022年度分を、赤字は2023年度分を示す。

なお、315系の投入計画は以下も併せて参照。 23編成が新製される8連はすべて本C編成となる。

非常用走行装置の搭載状況

315系は畜電池による非常用走行装置を備え、停電時でも低速で列車を安全な位置まで移動を可能にしていることが特徴の一つである。

しかし、この非常用走行装置が2021年度投入分(C1〜C7編成)では新製時に間に合わず、2022年夏ごろから順次後付けで搭載工事を受けた。搭載工事は日本車輛に入場して実施し、2024年1月までにすべて完了している。
編成名入場日出場日入場期間
C122/05/2422/7/2057日
C223/12/0123/2/0263日
C323/02/2023/3/2937日
C423/06/2623/8/0843日
C523/09/1223/10/2038日
C623/10/2323/12/0543日
C723/12/0124/1/1646日
当初は1編成あたりおおむね2か月を要していたが、C3編成は1ヶ月程度まで入場期間を短縮している。C3以降はしばらく間が空いたものの、2023年度はC4〜C7編成が8月から1月にかけそれぞれ施工を完了。

なお、C6が出場前にC7編成が入場したため、この間はC100編成重連による代走が常時実施された。

一方、2022年度投入分のC8以降の編成は新製時から非常用走行装置を搭載済みである。

投入時期による変化

番台区分の変更はないが、投入時期により形態に差異が見られる。

2022年度投入分のC8編成からは、スカートの形状が変更となっている。

また、C11編成からは信号炎管の取り付けを省略している。信号炎管は事故の際に他の列車に知らせる目的であるが、近年は防護無線により付近の列車を停止させることが基本となり、信号炎管は使用停止の措置が取られていた。この流れを受け、新製時から信号炎管を省略する動きは、JR他社でもみられる。

C1編成の編成構成

編成と形式

C1編成の構成は以下の通り。4M4Tの8両固定編成である。
C編成はJR東海でははじめて固定号車番号が付けられており、その順に示す。
号車
番号
形式車番機器摘要
1Tc1'クハ3141CP/BT名古屋方先頭車・トイレ
2M2モハ315502VVVFパンタ1基・弱冷房車
3M1モハ3152VVVF/SIVパンタ1基
4T2サハ315501CP/MB
5T1サハ3151CP/BT
6M2モハ315501VVVFパンタ1基
7M1モハ3151VVVF/SIVパンタ1基
8Tc1クハ3151CP/MB中津川方先頭車
  • 機器の記号
    • VVVF : インバータ制御装置
    • SIV : 補助電源装置
    • CP : コンプレッサー
    • BT : 制御用蓄電池
    • MB : 非常走行用蓄電池(後施工)
両端にクハを配置したシンプルな4M4T編成である。パンタはすべてのM車に1基搭載し、CPは313系3次車以降と同様2両に1両の割合で、T車(クハ・サハ)に搭載している。
モハとサハに番台区分500が存在しており、モハはSIVの有無、サハは蓄電池の差異(制御用・非常走行用)である。

前述の通り、非常走行用蓄電池は2021年度分のC1〜C7編成までは新製時未搭載で、2022年夏から2024年1月にかけサハ315-500とクハ315に搭載工事が行われた。一方、2022年度分のC8編成以降は、新製時より搭載済みである。

トイレは1か所のみで、これまで通りTc'車に付いている。弱冷房車の設定はJR東海初。
定員は、中間車が154名、トイレ付のクハ314が133名、トイレなしのクハ315が139名である。

性能として、
  • 電動機出力 220kW/個 (1時間定格・三相誘導)
  • 起動加速度 2.6km/h/s
  • 減速度 4.5km/h/s(常用最大)・5.1km/h/s(非常)
  • 最高速度 130km/h
である。
電動機はかご型誘導モーターで、HC85系で用いられる同期モーター(PMSM)は採用されていない。出力は313系の185kW/個より高いが、実際の運転時は過電流特性によるので性能差は不明。なお、起動加速度は313系と同じである。

車体寸法・重量等は、公式サイトの主要諸元に記載あり。
なお、編成構成はRAIL MAGAZINE 2022.3より、性能は鉄道ピクトリアル2022.6より。

クモハなしの編成

クモハのない形式はJR東海では117系以来のこと。これまで、JR東海として設計した車両は基本的にクモハを含んだ編成であった。

たとえば、313系は2・3・4・6両編成があり、クモハ+クハを基本として、1両単位での増減が可能な構成であった。3両編成のために片側が動力台車の0.5M車も用意していた。

一方、315系は4連と8連のみ。JR東海の通勤型としては編成が長く、シンプルな構成が可能となっている。のちに予定されている4連も同一形式で構成可能(Tc'1+M2+M1+Tc1)であり、CP・VVVF・SIV・BT・MB等すべての機器が編成内で過不足なく揃う。

電気連結器なしで固定運用

315系C1編成には電気連結器が搭載されていない。これは、他の編成との併結を考慮していないことを意味する。

これまでJR東海は、ラッシュ時とデータイムで運転本数をあまり変えずに、列車の編成長で輸送力を調整する方針であった。データイムでも運転本数を減らさずに、編成長を短くしてコストとサービスを両立しようとした感がうかがえる。一方で、編成両数が列車によって異なり、ラッシュ時は複数の編成が併結して運転されることも多いことから、号車番号を指定したサービスは難しかった。

その点で、8両固定運用の導入に伴い、LCD車内案内や弱冷房車の設定を行ったのはある意味興味深い。中央線に限らず、今後の列車編成長の考え方にも変化が現れるかもしれない。

運用時期・線区は?

投入線区は中央線名古屋口

2021年11月17日、JR東海より公式発表がなされた。
運用区間は「中央本線 名古屋駅〜中津川駅間」と発表されたほか、
  • 中央本線の名古屋駅〜中津川駅間は、特急車両を除き、2023年度中に車両を315系に統一
とあり、多種多様な編成があった中央線名古屋口の運用が、2024年3月までには315系8連に統一される。これに先立ち2022年3月改正において、315系の統一を待つことなく、中央線名古屋口は終日8両編成に統一された。

運用開始は2022年3月

営業運転開始は2022年3月5日(土曜日)。この日は、3月12日に実施するダイヤ改正の1週間前にあたる。このダイヤ改正では、中央線の終日8両化にともない車両運用面で大きな変更があり、ダイヤ改正に先立つ準備期間としたようだ。具体的には、
  • 315系運用開始で余剰の生じた211系0番台の廃車
  • 同じく捻出した313系3連の大垣区・静岡区への転属
  • 神領区の留置場所不足により、大垣車両区へ疎開していた315系C編成の復帰
などが実施された。
詳細は車両の動き(2022.3)を参照。

ダイヤ改正までの1週間、C編成は3編成程度の運用であったが、改正日の3月12日からは全7編成がフル運用に就いている。

2023年3月改正

中央線で運転される315系C編成の充当列車が、JR東海公式サイトの各駅の時刻表で確認できる。中央線の駅の時刻表を表示させると☆印が付いている列車があり、これが315系で運転される列車となっていた。

これは2023年改正でも公表されており、315系で運転される列車本数は以下の通りであった。
改正時2023年3月2022年3月
平日144本86本
土休日144本86本
行路数10行路7行路
(土休6行路)
144本は中央線名古屋口の半数弱にあたるが、2023年3月までに13編成が投入されることを考えると、全22行路中10行路は控えめな感があった。

限定行路以外に充当される可能性もあるが、C13編成の運用開始がダイヤ改正に間に合うか微妙なこと、C3編成が非常走行装置取付で入場中であることが影響していたものと思われる

2023年3月改正時における315系充当列車一覧比較を別途Googleシートでまとめてあるので、合わせて参照されたい。
これを見ると、改正前後で充当列車を入れ替えている印象を受ける。

2023年10月7日 中央線名古屋口は315系で統一

2023年度に入ると、4月から9月までの間に315系8連×10編成の投入が一気に進み、上半期で全23編成の配置が完了した。

中央線名古屋口は、最終編成であるC23編成が10月5日に運用入りすると、211系の運用も6日をもって終了。翌7日以降はすべて315系での運転となっている。下記は2023年における編成内訳の変遷である。



この時点では、315系8連は非常用走行装置の取付工事がすべて完了しておらず、十分な予備編成が確保されていなかったため、315系C100編成4連を併結した編成による代走も実施された。

2024年3月 中央線で130km/h運転開始

2024年3月改正では、中央線名古屋〜中津川間の普通・快速の最高速度が110km/hから130km/hに引き上げられ、315系に統一されたことによる加減速性能の向上も相まってダイヤが見直され、同区間の所要時間を3分ほど短縮している。

なお、最高速度の向上はダイヤ改正前から実施された模様で、ダイヤ遅延時などに130km/h運転が実施されていたようだ。

また、C100編成(4連)運用が拡大したことから、中央線でも4両×2の併結運用はなくなっており、8連の運行のみが続いている。ただし、2024年度に4連の追加投入があったことから、距離調整で併結運用が実施される可能性もある。

「C編成」という編成記号

315系で初登場のC編成であるが、この「C」という編成記号は、巷ではある程度予測されていた。置換え車両が多く所属し、8連の投入先であることから、神領車両区である予測が立った時点で、「Cではないか?」との声があった。

というのも、神領車両区の編成記号は、これまで
形式編成記号
383系A編成
313系B編成
211系K編成
であったからである。
並び替えるとAKBになるのはさておき、315系の投入で211系がなくなれば、Kはなくなり、AとBのみ。だから、続くCではないかと予測されたのであった。

なお、神領車両区の編成記号が少ないのは、番台区分や固定編成両数の違いを編成名の番台区分で示しているからである。B0は313系4連、B100は313系3連、8000番台はB200といった具合である。なお、他の車両区(大垣・静岡)では、編成記号そのものを別のアルファベットに振っていることが多い。

なお、神領区に4連が投入されると思われるが、同様に編成記号はC100となる可能性十分に考えられる。

ネットの情報等

TwitterやYoutubeで公開されているC編成の画像・動画を紹介しておきます(差し障りがあれば、コメント欄でご連絡ください)。

信号炎管を省略したC11編成

スカートの形態が変わったC8編成

初の315系・C1編成




このページへのコメント

315系ですが、換気できるように側窓の上部が車内側に開けることができますが、そのレバーが青色になり、開け方の説明ステッカーが貼られた編成が登場しています。C23とC104は変更済み。C9、C11、C15は黒色レバーのまま。青色になったので、前より目立ちます。今後、改修していくのかもしれません。

0
Posted by 211-5000 2023年10月25日(水) 21:18:01 返信数(1) 返信

最近の編成は仕様変更でそうなっているみたいですね。
先日日車を出場したC5も変更されたようです。

6
Posted by yoke 2023年10月26日(木) 07:03:36

将来的に中央線の315系の運用は全て8両固定編成になるのか代走等で今の211系みたいに4+4も出来るのか気になる所。

0
Posted by MN 2023年09月21日(木) 22:09:18 返信数(1) 返信

某氏によれば、もう1予備は1本で済ませるとの話ですが、個人的には本当なのかなと思ってます。

315系C0編成は、2021年11月〜2023年9月までにのわずか2年の間に23編成が作られました。
ついでに言えば、運用開始は2022年3月ですから、走行ベースで考えると
・22年3月〜23年9月
の1年半になり、数年後に一斉に検査時期を迎えます。

代わる代わる検査に入っている状況だと、22行路ある中央線の予備は実質ゼロ。
こんな状況が検査が一巡するまで続くわけで、なかなか厳しいんじゃないかと。

そんなわけでC100編成の4+4も実際は走ることになるのではないかと考えています。

3
Posted by yoke 2023年09月22日(金) 19:00:05

315系になれば、床下の電装機器から発生する音は小さくなるのかなと思ったのですが、相変わらずブレーキを緩めた時のヒューヒューという音は大きいまま。流石に383系程ではありませんが、他のJR東や西の車輌と比べるとかなり大きいと思います。ジャーナル誌9月号の315系の記事でも触れられることもなく、私が気にしすぎなのかな?

0
Posted by 211-5000 2023年08月29日(火) 14:57:12 返信

失礼ながらも、C編成編成表のC14・C15編成の出場日が2024年になっていますね。

しかし、K0編成の置き換えのためのC15編成がこんなに早く出場するとは思っていませんでした。なので今後も前と同じペースで出場しそうですね。C4〜C7の蓄電池搭載や4両編成10本の製造もあるので。

1
Posted by 閲覧者E 2023年05月15日(月) 16:13:14 返信数(1) 返信

失礼しました。修正しました。

今年は120両をぶち込むのと、HC85系が一段落しているので、早くから動きがあるのでしょう。

なんとなくですが、一気にC23まで入れて、MB搭載工事はその後ぼちぼちのような気がしています。

6
Posted by yoke 2023年05月15日(月) 19:25:03

スミマセン、下の投稿で改行ミスしたので再投稿します。

railway.jr-central.co.jp/315s/
www.n-sharyo.co.jp/business/tetsudo/pages/jrc315.htm
news.railway-pressnet.com/archives/36798
news.railway-pressnet.com/wp-content/uploads/2022/02/12_saha315-500.jpg

「鉄道プレスネット」の情報の真偽が確認できないですが、315系は中間車も車体長19600mm(連結面間20100mm)で統一されるようですね。

WikipediaやYahoo!知恵袋の回答では中間車は313系と変化なしと断定している連中がいますが…

0
Posted by 名無し(ID:cap1rV+jGw) 2022年02月28日(月) 09:48:44 返信

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